そんな修行の日々が1ヶ月ほど異世界で続いた。
休みを取れたのは2日か3日だったと思う。
早朝から晩まで続く修行。
ヒーラーと呼ばれる治癒担当(外傷を治癒できるシャルヴィス使い)が
3人にそれぞれついていたので怪我で苦しむということは無かったが
スタミナが続かない。
俺の師匠はじいさんと侮る無かれ、日頃はのっそりゆったり動いているが
シャルヴィスを使った途端別人のような動きをする・・・いや
あれが80を超えている人間の動きだとは言えないだろう。
修行の途中からは真剣を使い俊敏に動き容赦なく斬りかかっていた。
あれで手加減をしているって言うのだから凄い。
師匠はシャルヴィスを外に漏らせて相手に察知させるようなことはしない。
熟練者になればシャルヴィスを見せることなく使えるのだという。
あえて俺に見せる形で使ったりしていたが、
他の人からは見たことの無い程の量を放出してる時もあった。
あえてこんなことも出来るようになると見せていたのだろう。
肉体強化訓練意外にも座学の授業もあった。
アベルブ(元の世界の協力者)との関係からこちらの世界の詳細まで
特にモンスターの特徴、弱点や注意するべき項目は紙でも渡された。
コピー機なんてものはないので全て手書きなので3人に渡された資料は
微妙にタッチが違った。文字も日本語では当然無い。
読めるのだが直感的にはすぐに理解できない。
それも慣れれば可能になるという。
彩那の修行担当は二十代の女性師匠で修行内容同様の双剣使い。
獲物に見立てた木材と植物でできたカカシに素早く斬撃を入れて切り刻む。
ウエッタと呼ばれたその女性の動きはまさに踊るような動き、剣舞に見えた。
「彩那やってみな」
方膝のみをついて待機していた軽装備でまさに異世界の出で立ちをした彩那がゆっくり双剣をもち立つ。
目標のカカシが入れ替えられ新品になった。
「いきます」
まだ異世界にきて半月も経たないが・・これは。
師匠にほかの二人の訓練を見てこいと言われたが凄い。
少し前の彩那とは別人の素早い動き、フェイントを織り交ぜた動き。
なかでもシャルヴィスを使っているだろう光が手足から放たれている。
力をかなりコントロールできてるってことか。
アクロバティックな回避運動を交えて攻勢にでては素早くひいている。
実践を想定した動きをもうあんなに。