「不愉快な、その名前を聞くだけでも腹立たしいは。
その名前を出しただけで我々が協力するとでも思ったのか」
剣をドランズに向けて叫ぶ。
「いや、本当の事をありのまま話している。
ここに来るまでわかった事は宝物殿から魔剣が奪われたことが
間違いなくダークエルフが魔物を先導していた事、
そして賊はこの森を通って行ったという事だ。
君達は森の変化に敏感だときく。
何か倒したモンスター以外に感じ取らなかったか。」
周りのエルフ達が少しづつざわつきだしている。
「お前の話は判った。だが我々は人間に加担する事は無い。
そうそうに森を出て行って頂きたい。」
そう言うと去ろうとする。
「もう一つ話そう。盗まれた魔剣はダーインスレイフだ」
その名前を聞いたとたん立ち去ろうとしているエルフは暗示にかかったかのように
静止して動かなくなった。
「なにかしら、きさまらが争っているのは判るが我々の知る所ではない」
表情は相変わらず険しい。
そして次のドランズの一言でさらに険しさをました。
「どうもその盗んだ犯人がダークエルフのようなのだ。
やつらにあれが渡るのはどうしても阻止せねばならん。」
ドランズはそういうとやっと頭をあげた。
その言葉ダークエルフという単語にエルフの隊長は敏感に反応してた。
そう森の民エルフとダークエルフは同属に類するのだが
考え方や文化の不一致でかなり仲が悪い。
仲が悪いというレベルではないのかもしれない。
遭えば殺しあうような犬猿の仲なのだ。
エルフ指揮官がそれに気づきドランズを睨む。
ドランズは動じず傍まで来て何も言わずに
深々と頭を下げた。
ドランズは一言も発しない。エルフの指揮官もそれをずっと凝視している。
あまりにも長く頭を下げているのでついに指揮官のほうが先に声をあげた
「何の真似だ」
いぶかしげにエルフは言った。
「助けてもらってずうずうしいのは百も承知で申す。私達を助けては頂けないだろうか。
先刻我が砦より魔剣が奪われた。それを取り戻さねばこの世界に大災害が起こるやも知れないのだ。」
何かあったのかと周りのエルフが少しづつ集まりだす。